雪ノ下「その…比企谷君は由比ヶ浜さんのことを…」

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1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 20:29:23.27 :5uU1+dbI0


雪ノ下「…どう思っているのかしら?」

八幡「いや…特になんとも思ってないが」

雪ノ下「そう…」

八幡「あぁ…」

雪ノ下「つまり、比企谷君を私の好きにして良いわけね…」スッ

八幡「あぁ……ん?」

雪ノ下「…んっ」チュッ

八幡「!?」


デレデレなゆきのんおなしゃす!!





16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 20:41:16.09 :5uU1+dbI0


八幡「は?お前何してんの?」

雪ノ下「?」

八幡「いやいやいやいや…」

雪ノ下「嫌だったかしら?」

八幡「いや…そういうわけじゃないが…」

雪ノ下「そう」チュ

八幡「ん!?」




17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 20:42:31.23 :4P56u5SjO


八幡「!……何してんだお前」

雪ノ下「あら、わからなかったのかしら……ならもう一度」スッ

八幡「!」バッ

雪ノ下「何もそんな大袈裟に避けなくても」

八幡「いや!避けるだろ、普通!恋人でもないのにキスされそうになったら」

雪ノ下「……おかしいわね、てっきりあなたは普通の人間ではないと思っていたのだけれど」




30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 20:56:56.66 :4P56u5SjO


八幡「い、いや確かに俺は普通とか皆とかの範疇に入る人間じゃないが常識が通じないって意味じゃないぞ」

雪ノ下「そういえばそうだったわね、小悪党さん」

八幡「なんでそんな何ヶ月も前の俺の蔑称を覚えてるんだ!?」

雪ノ下「それはあなたとの出会い方が異常過ぎて覚えてるだけよ」

八幡「微妙に俺への罵倒からずらしてきたから反論できないぞ、オイ……」

八幡「そんなことよりさっきのアレはなんだ」




51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 22:05:53.33 :4P56u5SjO


雪ノ下「アレじゃわからないわ。『おい』とか『アレ』で通じる熟年夫婦じゃないのよ、私達は」

八幡「もうツッコむ気も失せた……だからあの……キスは……何?」

雪ノ下「そんなことも知らないの?比企谷君。少々頭が残念とは思っていたけどここまでとは」

雪ノ下「キスというのは日本語では接吻といって愛情表現や挨拶として他人の口や頬に口をつける行為の…」

八幡「辞書的な意味を訊いたわけじゃねえよ!」




55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 22:27:57.71 :4P56u5SjO


雪ノ下「あら、あなたの望む答えではなかったようね。キスというのは魚の…」

八幡「だ・か・ら!キスという単語じゃなくてお前のさっきやった行為について訊いてるの!!」

雪ノ下「あなた、まさかさっきのが挨拶だとでも思って?」

雪ノ下「もしあなたが突然そんな『挨拶』をしてきたら今頃通報してるわよ」

八幡「いや、挨拶なんて思ってな……ちょっと待て」

雪ノ下「?」キョトン

八幡「いや、小首傾げて可愛いアピールして誤魔化してもダメだから」

八幡「今まさにその通報されるような行為をお前がしたんだが」




60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 22:43:50.88 :4P56u5SjO


雪ノ下「……別にしてくれても私は構わないけれど。結果としてどうなるかはあなたの想像に任せる」

八幡「くっ……俺の人望のなさにつけこみやがって……」

雪ノ下 フッ

八幡「あっ!今鼻で笑っただろ!」

雪ノ下「ごめんなさい。あなたとの会話が面白すぎるからつい……」

八幡「……だから不意打ちでそういうこと言うなって……勘違いするだろうが」

雪ノ下「勘違いって?」




62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 22:52:12.22 :4P56u5SjO


八幡「……そんなことされたり言われたりしたら雪ノ下が……俺のこと好きみたいな」

雪ノ下「そうよ」

八幡「」




八幡「……熱でもあるのか?少し休んだ方が」

雪ノ下「熱ならあるに決まってるじゃない」

雪ノ下「いくらあなたが影で私のことを氷の女王と呼ぶからと言ってもそこまでいわれるとは心外だわ」

八幡「いや、そりゃ平熱はあるだろうけどそうじゃなくて……」




63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 23:01:52.75 :4P56u5SjO


雪ノ下「別にそういう意味じゃなくても熱ならあるわ」

八幡「じゃあやっぱり休めよ」

雪ノ下「……今の私はあなたにお熱よ」

八幡「そんなことをドヤ顔で言わんでくれ」

雪ノ下「……なるほど、こういうのをドヤ顔というのね」

八幡「いや……どっちにしてもおかしいだろお前」

雪ノ下「今あえてそれを否定する気は私にはないわ」




65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 23:12:52.25 :4P56u5SjO


八幡「……意図が読めない」

雪ノ下「ちょうど良いじゃない、おかしい人同士ってことで」

八幡「そういう意味かよ……」

雪ノ下「納得してもらえたのならそれでいいわ。なら比企谷君は私の好きに」

八幡「待て待て待て待て!」

八幡(これ以上二人だけで話をしても埒があかん。ここは一度部室を出て由比ヶ浜あたりを……)ダッ


ガララッ


由比ヶ浜「!」

八幡「!」




67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 23:19:15.83 :4P56u5SjO


八幡「…」

由比ヶ浜「や…やっはろー……」

八幡「……いつ、来た」

由比ヶ浜「え!?ちょうど今、かな」

八幡「ウソつけ。じゃあなんで足音も何もしなかった?」

由比ヶ浜「…」

雪ノ下「由比ヶ浜さん、こんにちは」

八幡「…」

由比ヶ浜「こ、こんにちは…」




68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 23:24:54.85 :14JwbAWG0

うむ




69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 23:31:57.95 :4P56u5SjO


雪ノ下「じゃあ、比企谷君とはそういうことになったから……由比ヶ浜さん」

由比ヶ浜「ダ、ダメだし!ヒッキーを好きにするなんて」

八幡「やっぱ話聞いてたんじゃねぇか」

由比ヶ浜「うっ……」

由比ヶ浜「そっ…そんなことよりゆ、ゆきのんもゆきのんだよ!ヒッキーの意思も確認しないで」

八幡「そ…そうだぞ!俺は一度も雪ノ下の今言ったことには」

雪ノ下「イエスとは言ってない」

八幡「わかってるんじゃないか……なら」

由比ヶ浜「そうそう……」




73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 23:39:09.29 :4P56u5SjO


雪ノ下「ノーとも言ってないわ」

八幡「なら今言うわ……ノーだ」

雪ノ下「そう……」

由比ヶ浜「ゆきのん……」

雪ノ下「……とりあえず座ったら?由比ヶ浜さんも」

由比ヶ浜「え!?あっ……うん……」ガタッ

八幡「……」

雪ノ下「……」

由比ヶ浜「……」




77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 23:48:21.43 :4P56u5SjO


由比ヶ浜「ね、ねぇ……その、ヒッキーはさ、その……」

八幡「あ?俺は前にも言ったが誰ともつきあう気とかはないからな」

由比ヶ浜「そ、そう……ってそうじゃなくて!」

八幡「?」

由比ヶ浜「ゆきのんのことも……何とも思ってないの?」

雪ノ下「比企谷君にその質問は無意味よ」

八幡「何故お前が答える」




79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 23:56:32.24 :4P56u5SjO


雪ノ下「あら?あなたが言ったんじゃない?自分も時々ウソつくって」

由比ヶ浜「そんなこと言ったの?」

八幡「え?ま、まあ……」

由比ヶ浜「ふ~ん……」

八幡「な、何で微妙に嬉しそうな顔してんだよ……」

由比ヶ浜「べっつに~」

雪ノ下「つまり、そういうことよ」

由比ヶ浜「そういうことね」

八幡「いや勝手に納得されても困るんだが……」




94:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 00:35:41.52 :4GHfUUZCO


雪ノ下「だから無意味なのよ、そんなこと訊いたところで」

由比ヶ浜「それはわかったけど……ゆきのんはそれでいいの?」

雪ノ下「……良いわけないじゃない、それは」

由比ヶ浜「でも、どうするの?だってヒッキーは……」

八幡(え?何?なんか俺の存在なかったかのように自分のこと話されてるんですが)



雪ノ下「まあ……あなたも」

雪ノ下「一度玉砕されなさい」

由比ヶ浜「!?」

八幡「!」




97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 00:47:42.76 :4GHfUUZCO


由比ヶ浜「(ちょ、ちょっとゆきのん何言ってるの!?玉砕ってそれって……)」コソコソ

雪ノ下「(ええ、告白して振られなさいと言ってるのよ)」コソコソ

由比ヶ浜「(ええ!?でも、そんなことしたら後で気まずくなったりとか……)」

雪ノ下「(あの男ならそういう心配ならいらないわよ。今私と比企谷君がそうしてるみたいに)」

由比ヶ浜「(それはそうかもしれないけど)……」

由比ヶ浜「(あたしはもっとヒッキーと仲良くなってからでも……と思ってたから)」

雪ノ下「(……友人としてならそれも悪くない選択ね)」




101:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 00:55:52.11 :4GHfUUZCO


雪ノ下「(でも……それだと多分いつまで経っても彼は変わらない。あなたも薄々感じてるのではなくて?)」

由比ヶ浜「(うっ……それは……)」

雪ノ下「由比ヶ浜さん、今日今から時間あるかしら」

由比ヶ浜「え?あ、あたしは大丈夫だけど」

雪ノ下「じゃあ私の家に来て。色々あなたには話さないといけないことがあるから」

由比ヶ浜「わ、わかった……」

八幡「……そういうことなら今日はもうとりあえず終わりってことでいいのか?」

雪ノ下「そうね」




105:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 01:06:25.63 :4GHfUUZCO


八幡(良かった……このまま由比ヶ浜にまで何か言われたりしたら頭がパンクするとこだった)

八幡(何を話すか知らんがとりあえずは由比ヶ浜に期待するしか……)

八幡(いや期待するのはダメだ……何事もないのを祈るしか)

雪ノ下「では、そういうことで。比企谷君?」

八幡「はい?」

雪ノ下「あなたとは明日改めてじっくり話をするつもりだから」

八幡(こっちもまだ逃げられてなかったのかよ……)

八幡「はあ……」




106:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 01:13:39.01 :4GHfUUZCO


雪ノ下「由比ヶ浜さんもそのつもりで」

由比ヶ浜「え?あ、うん……」

雪ノ下「じゃあ比企谷君、また明日」

八幡「……また明日」

雪ノ下「私達は行きましょうか」

由比ヶ浜「うん……ヒッキーまた明日ね」

八幡「また明日……」









108:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 01:30:10.50 :4GHfUUZCO


翌日の放課後


八幡(……結局昨日はほとんど寝られなかった……いきなり雪ノ下に告白されるわキスされるわ)

八幡(実は今も寝てて夢なんじゃないか……日を跨いだ夢なんて見たことないか)

八幡(おまけに今日は由比ヶ浜もなんかあるらしい……教室で話す機会はなかったが)

八幡(でもなんか見たらソワソワしてたし……今日部活休もうかな……由比ヶ浜がいる時点で仮病はムリか)

八幡(てか今日休んだところで同じか……ならさっさと終わらせて……よし!)


テクテク


ガララッ




112:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 01:48:52.14 :4GHfUUZCO


由比ヶ浜「ヒッキー、やっはろー!」

雪ノ下「こんにちは、比企谷君」

八幡「……う、す」

八幡(てか何で今日に限って二人ともこんな早いんだよ……これじゃ部室には行ったという言い訳も使えん)ガタッ

八幡「……で?昨日言ってた話というのは」

雪ノ下「私のことは後でいいわ。……由比ヶ浜さん」

由比ヶ浜「あ……うん」




116:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 02:03:09.18 :4GHfUUZCO


由比ヶ浜「ヒッキーちょっとこっちに来て立って?」ガタッ

八幡「お、おう……」ガタッ

八幡(……)

由比ヶ浜「あ、あのねヒッキー……」モジモシ

八幡(相変わらず腕下ろして前で指組む仕草が可愛くて困る……)





由比ヶ浜「あ、あたしはヒッキーのことが好きです。つきあって下さい」

八幡「ごめんなさい」




122:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 02:26:30.01 :4GHfUUZCO


由比ヶ浜「はは……うん、わかってたけど実際に言われると……」ジワッ

雪ノ下「落ち込んでるヒマはないわ、由比ヶ浜さん」スッ

ガシッ

八幡(え?体掴まれて視界が……)




チュッ



八幡「!!」




123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 02:34:10.55 :4GHfUUZCO


スッ

雪ノ下「ふぅ……」

由比ヶ浜「えへへ……///」

八幡「……いや、何今の」

由比ヶ浜「何って……チュー?」

八幡「いや、そうじゃなくて」

雪ノ下「実力行使よ」

八幡「……何の」

雪ノ下「あなたへの好意の証明」

八幡「…………そういうことか」




125:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 02:44:44.38 :4GHfUUZCO


由比ヶ浜「ヒッキー……今のゆきのんの説明でわかったの?」

八幡「まあ……な」

由比ヶ浜「そっか……やっぱりゆきのんはヒッキーのことよくわかってるんだなぁ」

八幡「……一体何話したんだよ昨日は」

八幡「というかいいのかよ、雪ノ下は雪ノ下で」

雪ノ下「何が?」

八幡「ゆ、由比ヶ浜にこんなことさせて……」

雪ノ下「私は別に構わないわよ。そんなことよりあなたをスタート台に立たせることの方が余程重要」

八幡「スタート台、か……」




127:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 02:51:49.49 :4GHfUUZCO


八幡「なんか……済まない、二人とも……」

由比ヶ浜「ふふっ」

雪ノ下「フッ」

八幡「な、何がおかしい?」

由比ヶ浜「昨日ゆきのんと話してた予想通りの反応だなぁって」

八幡「……雪ノ下……全部先に話してくれ……」

雪ノ下「了解」




147:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 07:59:07.55 :4GHfUUZCO


昨日の雪乃の家





由比ヶ浜「それで……その……あたしがヒッキーに告白しろって話だけど、その前に一つ訊いてもいい?」

雪ノ下「何かしら」

由比ヶ浜「その……ゆきのんは……いつからヒッキーのこと好き、というかいつその気持ちに気づいたというか」

雪ノ下「……一昨日よ」

由比ヶ浜「お、おととい!?」

雪ノ下「ええ、そうよ」

由比ヶ浜「それにしては行動が早いというか……ある意味納得はできたけど……」

雪ノ下「納得?」




151:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 08:07:13.91 :4GHfUUZCO


由比ヶ浜「ゆきのんがそういう素振り見せてたようにはみえなかったし」

雪ノ下「まあ学校がなくてあなたと会ってない日だから」

由比ヶ浜「……その日ヒッキーと会って何かあったとか?」

雪ノ下「いえ、私はその日はずっと家にいたわ」

由比ヶ浜「え?もしかしてヒッキーが家に……?」

雪ノ下「会ってないからあなたが心配するようなことは何もないわ」

由比ヶ浜「え!?し、心配なんかしてないし!何かあたしが変なこと考えてたみたいじゃん」




154:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 08:14:21.01 :4GHfUUZCO


雪ノ下「それに仮に私と比企谷君で家で二人きりになっても彼は何もしないわよ」

由比ヶ浜「だ、だよね~……でも何もおきない、とは言えなくなった」

雪ノ下「……そうかもね」

由比ヶ浜「……何がキッカケでヒッキーのこと……」

雪ノ下「……わ、笑わないで聴いてくれるかしら」

由比ヶ浜「う、うん……」






雪ノ下「……夢を、見たのよ」




157:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 08:29:15.32 :4GHfUUZCO


由比ヶ浜「夢?……ヒッキーとゆきのんが恋人になってる夢とか?」

雪ノ下「まあ……そういう夢で気持ちに気づくってこともあり得なくはないけれど」

由比ヶ浜「でも夢を見たくらいですぐにあんなことまで……」

雪ノ下「そう……普通はそんなことであんな行動は起こさないわよね……」

由比ヶ浜「……ゆきのん?」

雪ノ下「……いえ、どちらにせよ私の考えすぎだったから良かったのだけど」

雪ノ下「……由比ヶ浜さんは正夢や予知夢って信じる?」

由比ヶ浜「それって夢で見たことが現実で起きるってやつだよね?」

雪ノ下「そう」




158:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 08:45:52.64 :4GHfUUZCO


由比ヶ浜「ゆきのんも……そういう夢を見ることがあるの?」

雪ノ下「見ることがある、というよりは結果的に現実がそうなるって言った方がいいかしらね」

由比ヶ浜「ゆきのんらしい言い方だなぁ……」

雪ノ下「まあ、そういう夢の時は普段見る夢より現実っぽいとはいえるのかしらね」

由比ヶ浜「それはなんとなく分かるかも。逆にもっとふわふわしててつかみ所がない夢もあるし」

雪ノ下「だからそういう夢の時は目が覚めても現実にあったことのように感じられる」

由比ヶ浜「なるほど…………それで、その夢って?」




雪ノ下「……比企谷君が死ぬ夢」




161:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 09:25:34.80 :4GHfUUZCO


由比ヶ浜「えっ…………予知夢って……それじゃあ……」

雪ノ下「……大丈夫。その夢の内容はもう実際には過ぎてるから予知夢ではなかった」

由比ヶ浜「そ、そうなんだ……良かった」ホッ

由比ヶ浜「……ゆきのんがイヤじゃなかったら、その……夢のこと……もう少し聞いてもいい?」

雪ノ下「私もそのつもりよ。なるべくあなたには私の考えをトレースしてほしいから」

由比ヶ浜「ドレス?」

雪ノ下「トレースよ……写しとるって意味……トレーシングペーパーとか美術で使ったことくらいあるでしょう?」

由比ヶ浜「や、やだなあ!し、知ってるからそれくらい」

雪ノ下「……あなたはいつも通りね」




162:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 09:36:01.60 :4GHfUUZCO


雪ノ下「ただ、もしかしたらその話であなたの気分を害したらごめんなさい」

由比ヶ浜「……夢の話で何でそうなるの?」

雪ノ下「いくら現実の話でないにしろ……夢も自分の頭の中で起きていることだから」

雪ノ下「夢ってある意味潜在意識の結晶みたいなものなのよ……心の奥底の声とでも言うのか」

由比ヶ浜「ゆきのん!」ダキッ

雪ノ下「な、何故急に抱きついて」

由比ヶ浜「……ゆきのんがそこまで近づいてくれるとは思ってなかったから……嬉しい、というか」

雪ノ下「?」




164:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 09:49:22.30 :4GHfUUZCO


由比ヶ浜「もう……ゆきのん無意識だったの?今から自分の心の声について話すって言ったんだよ!」

雪ノ下「!……あ、いえ……これは夢に対する一般的な解釈を述べたのであって今から話すことがそうとは限らず……」

由比ヶ浜「それでも……話してくれるんでしょ?」

雪ノ下 コクリ

由比ヶ浜「それに、心の声とか考えなくても嬉しいよ……」

由比ヶ浜「やっぱり自分の見た夢について喋るのって……恥ずかしいとこあるし。意味分かんなかったりするし」

由比ヶ浜「そういうこと話せるのって信頼できる人じゃないとね……口が軽い人とかもダメだし」

由比ヶ浜「だからあたしのことそういう対象として見てくれるなら……ありがとう」

雪ノ下「こ、こちらこそとりとめのない話につきあってくれて……感謝してる」




167:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 10:07:24.73 :4GHfUUZCO


雪ノ下「じゃあ、その……まずは夢で見たことを順番に話すわ」

由比ヶ浜「うん……」

雪ノ下「まあ……夢って突然始まってるから……普段通り放課後は奉仕部で特に誰も来ずに部活は終わって……」

雪ノ下「それで帰る時に由比ヶ浜さんがファミレスで3人で勉強会をすると言い出して」

雪ノ下「結局3人で学校を出てしばらくして信号のない横断歩道に差し掛かった」

雪ノ下「クルマはいなかったから由比ヶ浜さん先頭に渡りはじめて真ん中あたりまで来たとき……」




170:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 10:22:13.01 :4GHfUUZCO


雪ノ下「脇の交差点から急にクルマが出てきて凄い勢いで曲がってきて由比ヶ浜さんの方に……」

雪ノ下「それですぐ後ろを歩いてた比企谷君が前に飛び出て由比ヶ浜さんを向こう側に突き飛ばして……」

雪ノ下「……クルマに轢かれたのは比企谷君だった。いえ……はねられたといった方が正確か」

由比ヶ浜「……」

雪ノ下「何メートルか宙を舞ってアスファルトに頭から……」

雪ノ下「クルマはそのまま逃走……私はナンバーを覚えてすぐに比企谷君に駆け寄った」

雪ノ下「比企谷君は薄目のまま言った……『これで少しは俺が生きてた意味もあったのかな』と」

由比ヶ浜「ゆ、ゆきのんこれ以上無理して……」




171:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 10:33:42.88 :4GHfUUZCO


雪ノ下「大丈夫よ……夢の話だから……その後救急車呼んだりとか心臓マッサージしたりとかして」

雪ノ下「私と由比ヶ浜さんも一緒に救急車で病院に行った後は夢の中でもあまり記憶がない」

雪ノ下「……そして数時間後に彼の死が告げられた」

雪ノ下「夢の中でこの時ほど『夢であってほしい』と思ったことはないでしょう……」

雪ノ下「そして彼の葬儀が終わる日まで私の夢が覚めることはなかった……」

由比ヶ浜「え?それって……」

雪ノ下「……夢の中でまた眠るとは私も思ってなかったわ。だから本当に目が覚めるまで現実と思いこんでいた」




174:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 10:51:02.94 :4GHfUUZCO


雪ノ下「彼がクルマに轢かれた後2日間近く……色々なことが頭の中を駆け巡った」

雪ノ下「私にとっての彼の存在がどういうものだったか……」

雪ノ下「由比ヶ浜さんにとっての彼の存在……他の人にとっての彼の存在……」

雪ノ下「彼はぼっちを自称するだけあって交友関係はあまりなかった」

雪ノ下「でも、彼は他者の存在自体を求めてなかった訳じゃない」

雪ノ下「嘘や欺瞞を嫌うからこそそれで成り立ってる人間関係に我慢ならなかっただけ」

雪ノ下「由比ヶ浜さん……彼が何故奉仕部に入れられたか、話したかしら」

由比ヶ浜「う、ううん……平塚先生に入れられたってことしか……」




175:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 10:57:54.24 :4GHfUUZCO


雪ノ下「私も後から聞いたのだけれど……」

雪ノ下「彼、『高校生活を振り返る』って作文に『リア充爆発しろ』的なことを書いたらしいのよ」

由比ヶ浜「うわぁ……」

雪ノ下「本当に一人がいいならそんなこと書くはずないのにね」

雪ノ下「おまけにぼっちの私には二度も『友達にならないか』などと言うし」

由比ヶ浜「えっ……なんか今の地味にショックかも」




177:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 11:08:06.89 :4GHfUUZCO


雪ノ下「別に嫉妬するなら嫉妬するでいいのよ、今のはあなたの反応も予測済みで言ったから」

由比ヶ浜「うっ……なんか今のゆきのん意地悪だ……」

雪ノ下「……私もあなたに嫉妬したからお互い様よ」

由比ヶ浜「……どういうこと?ゆきのんがあたしに嫉妬するようなことなんて」

雪ノ下「夢の中の話って思うかもしれないけれど覚めるまでは現実だったから……」

雪ノ下「結局比企谷君が命をかけて守ったのは由比ヶ浜さんなんだ……とね」

由比ヶ浜「……ヒッキーならそれも偶然って言うよ」

雪ノ下「そう。それはその通りなのだけれど感情って理屈では説明できないものなのよ」




178:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 11:23:30.56 :4GHfUUZCO


由比ヶ浜「……ゆきのんがそういうこと言う日が来るとはね……」

雪ノ下「……また微妙に毒を感じる言い方ね」

由比ヶ浜「……だってさ、ゆきのんまでヒッキーが好きっていうなら……あたしなんかじゃ敵うわけないじゃん」

雪ノ下「その心配はいらないわ。今はどちらも相手にされてないから」

由比ヶ浜「そ、それはそうかもしれないけど……」

雪ノ下「だからあなたも一度告白して振られなさい」

由比ヶ浜「振られるの前提なんだ!?」




180:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 11:41:54.45 :4GHfUUZCO


雪ノ下「……それとも多少なりとも希望を持っているの?それはそれで感心するけど」

由比ヶ浜「……そりゃ今のヒッキーにOKしてもらえるとは思わないけどさ……」

由比ヶ浜「その……また気まずくなったりしたら……イヤだし」

雪ノ下「大丈夫。比企谷君はあなたが離れていかない限りは元の状態になるだけよ」

由比ヶ浜「……それも……そうかもね」

雪ノ下「別に告白しろって言うのは恋愛関係を成功させろって意味とは少し違うのよ」

由比ヶ浜「どういうこと?」




206:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 15:20:25.21 :4GHfUUZCO


雪ノ下「私がさっき言った夢を見たとき……」

雪ノ下「今の自分にとって彼がどんな存在だったかを理解した」

雪ノ下「それが単なる友人関係を超えた感情を持ち合わせていることも」

雪ノ下「その上で私は今までの自分の彼に対する振る舞いについて死ぬほど呪ったわ」

雪ノ下「……それに、私は奉仕部としての依頼も全くできていないことに気付いた」

由比ヶ浜「?……それはヒッキーに関する依頼があったってこと?」

雪ノ下「そう……もともと彼が部に来たのは平塚先生の依頼によってだった」




209:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 15:26:06.29 :4GHfUUZCO


雪ノ下「『彼のひねくれた根性と孤独体質を更生する』……それが先生の依頼」

雪ノ下「……別に私も一人でいること自体を悪いというつもりもない」

雪ノ下「でも……夢の中での彼の最期の言葉を聴いたとき私は愕然とした」

雪ノ下「『これで少しは俺が生きてた意味もあったのかな』って……」

由比ヶ浜「それって……」

雪ノ下「今となっては夢の中の話だと笑い飛ばすこともできるのかもしれない」




210:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 15:30:38.19 :4GHfUUZCO


雪ノ下「……しかしそういう可能性があると知ってしまった時点で私はもう……」

雪ノ下「以前から彼の自身への自己評価が異常に低いことは知っていたつもりだった」

雪ノ下「だからこそ、彼が自分で自分のことが好きと言ったり優秀であると言ったりすることも」

雪ノ下「彼が何のためらいもなく自己を犠牲にできるのは……」

雪ノ下「他人にとっての自分を本当に何の価値もない人間と考えているから」

由比ヶ浜「……ほ、本当にヒッキーはそんな風に思っているのかな」




214:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 15:52:15.68 :4GHfUUZCO


雪ノ下「……私も別に、本当に自分だけで自分の存在を肯定しきれるならそれでもいいと思うわ」

雪ノ下「でも、今までの彼の行動を考えればとてもそうは思えない」

雪ノ下「そもそも奉仕部に入るキッカケになった作文自体、承認欲求丸出しじゃない」

由比ヶ浜「確かに本当に自分だけの世界だけで生きてるなら『リア充爆発しろ』なんて書かないもんね」

雪ノ下「そう。彼自身、承認欲求そのものがないわけじゃない」




217:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 16:01:38.85 :4GHfUUZCO


雪ノ下「今まで幾度も裏切られてきたから自分からは求めないだけで」

雪ノ下「なんだかんだ理由はつけても奉仕部で活動してきたのもその欲求の表れかもしれない」

雪ノ下「そしてそんな彼は……私個人の存在も認めてくれた」

由比ヶ浜「と、言いますと……?」

雪ノ下「私は小さいころから……いつもどこかで姉の存在を追っていた」




218:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 16:08:35.73 :4GHfUUZCO


雪ノ下「それは真似をしたいという意味でも、あのようにはなりたくないという意味でも」

雪ノ下「私は姉のように裏表を使い分けて人と上手くやることはできなかった……そしてしなくなった」

雪ノ下「姉のように裏表のある人間という存在を他の人にも感じていった、というのあるのかもしれない」

雪ノ下「まあ、人間の裏表を嫌うところは比企谷君と似ているかもしれないわね」

雪ノ下「私の姉を知る人は私を見て皆口々に『そんなことしてると損をする』『不器用』などと言った」




219:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 16:15:25.75 :4GHfUUZCO


雪ノ下「そう言われること自体は別に構わなかった……それが私の選んだ道なわけだし」

雪ノ下「でも、結局そんな私のことを認めてくれた人は……ほとんどいなかった」

由比ヶ浜「あ、あたしは今のゆきのんが好きだよ!」

雪ノ下「……ありがとう」

雪ノ下「文化祭の時に姉の指揮を見ていた私はふと『姉のようになりたかった』と呟いた」




221:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 16:22:52.65 :4GHfUUZCO


雪ノ下「その時隣にいた比企谷君は『ならなくていいだろ、そのままで』と言った」

由比ヶ浜(あれ?なんか微妙に惚気られてる?)

雪ノ下「……嬉しかった」

雪ノ下「私のダメな部分も散々見てるはずの人にそんなこと言われたのは初めてだったから」

雪ノ下「……それなのに。それなのに一体私は今まで何をしていたのかしら」

雪ノ下「私が彼にしたことと言えばせいぜい罵倒くらいのもの」

雪ノ下「おまけに二度も彼の誘いを断る始末」




249:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 20:03:58.61 :4GHfUUZCO


雪ノ下「一度目はともかく……二度目は本当にただ自分に素直になれなかっただけで……」

雪ノ下「……知らず知らずのうちに私は彼の優しさに甘えていただけなのかもね」

由比ヶ浜「ゆ、ゆきのんは……ヒッキーに何もできてないなんてことはないよ」

雪ノ下「慰めの言葉……ありがとう」

由比ヶ浜「……ゆきのんが素直じゃないのは今もみたいだね」

由比ヶ浜「ゆきのんに上辺の言葉だけで……慰められるわけないじゃん」

由比ヶ浜「ヒッキーは……ゆきのんと話すの楽しんでたと思うよ。それこそほぼ最初から」




252:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 20:13:48.50 :4GHfUUZCO


雪ノ下「でも……ジョークで済まないような酷いことも言ってたのに……」

由比ヶ浜「……大丈夫。あたしだってこの数か月、ヒッキーのこと見てきたんだから」

由比ヶ浜「ヒッキーの感情はある程度は読み取れるようになったと思う」

由比ヶ浜「それに……本当に相手に対して酷いこと言ったと思うなら、ゆきのんなら謝るよ」

雪ノ下「!」

由比ヶ浜「だからね……それは心配しなくても平気だよ」

雪ノ下「……私はあなたにも頭が上がらないわね」




253:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 20:23:28.26 :4GHfUUZCO


由比ヶ浜「もう、大げさだって!あたしもヒッキーもお互い様なだけだよ」

雪ノ下「そう……ならいいのだけれど」

由比ヶ浜「そういうめんどくさいところはヒッキーにそっくりだなあ……」

雪ノ下「ごめんなさい……」

由比ヶ浜「だから……謝るの禁止!あたしもゆきのんには感謝してるから……」

雪ノ下「?……そんなに感謝されるようなことをした覚えはない、と思う」

由比ヶ浜「ううん、あたしもゆきのんに会って変われたし……」

由比ヶ浜「……それにゆきのんの生き方、というかポリシーそのものが希望になる人もいるんだよ」




256:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 20:47:35.59 :4GHfUUZCO


雪ノ下「そういう……ものなのかしら」

由比ヶ浜「少なくともあたしはそうだったし……ヒッキーも……そうだったんじゃないかな?」

由比ヶ浜「ゆきのんだって……たぶんヒッキーのポリシーに救われたところ、あるんじゃない?」

雪ノ下「……そうかもしれないわね。ただ……」

由比ヶ浜「……心配、だよね?……ヒッキーも今のままだと……」

雪ノ下「……そう。長いこと話を脱線させてしまったわね」

由比ヶ浜「……元々何の話をしていたんだっけ?」

雪ノ下「……平塚先生からの奉仕部の依頼の話よ」




258:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 21:00:17.62 :4GHfUUZCO


由比ヶ浜「ヒッキーの孤独体質の更生……か。でも、それとあたしが告白するのとどういう関係があるの?」

雪ノ下「孤独体質の更生っていっても好きで一人でいること自体が問題というわけではない」

由比ヶ浜「そう……言ってたね」

雪ノ下「それにそういう嗜好はおそらくこれから変えるのはなかなか難しいと思う。私も含めて」

雪ノ下「一度口にはしたけど……たぶん彼の一番の問題って承認欲求が満たされていないことなんだと思う」

由比ヶ浜「あ……それは確かに聞いた」

由比ヶ浜「それって要するに……自分が人から必要だと思われてるってことでいいのかな?」

雪ノ下「まあ、そんな感じね」




260:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 21:08:45.77 :4GHfUUZCO


由比ヶ浜「……あたしは超必要としてるんだけどなあ……ヒッキーのこと」

雪ノ下「……私もそう思っている」

由比ヶ浜「でも、ヒッキーの方からそう思わせるのは無理ってこと?」

雪ノ下「ええ、たぶんね」

由比ヶ浜「冗談めかして言ってるけどヒッキー色々トラウマ抱えてるもんね……」

雪ノ下「だからこちらからハッキリ言って行動するしかない……そう思った」

由比ヶ浜「そ、それであの告白とキス!?……ゆきのん度胸あるなあ……」

雪ノ下「それだけってわけではないけれど…………案外あの夢がウソとも言い切れないし」

由比ヶ浜「………………え?」




265:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 21:30:10.53 :4GHfUUZCO


由比ヶ浜「それって……予知夢の話?……え、ヒッキーは……」

雪ノ下「あ!いえ、別に夢で見たことが起きるって意味じゃではなくて……」

由比ヶ浜「なんだ……」ホッ

雪ノ下「でも……よく考えてみると……あの夢で起きたことっていつあってもおかしくないのよね」

由比ヶ浜「そ……それは……そうかもしれないけど」

雪ノ下「……今の比企谷君にとって私達の存在が取るに足らないものだとは思わない」

雪ノ下「私の思い違いでなければ……それなりの信頼関係は築けたと考えている」

雪ノ下「ただ……近づけば近づくほど……その関係が壊れるのが怖くなる」




267:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 21:41:13.82 :4GHfUUZCO


雪ノ下「特に交友関係の少ない人間にとっては……」

雪ノ下「私も由比ヶ浜さんに近づくのも……その……結構ビクビクしながら、みたいな所あるから」

由比ヶ浜「ゆきのん……」

雪ノ下「たぶん彼は私の比でなく怖がっていると思う、距離を近づけるのを」

由比ヶ浜「……でも、それ自体は仕方ないんじゃないかな?少しづつ近づくしかないっていうか」

雪ノ下「そうね。でも、もう私は関係が壊れて失われることを怖がるのはやめた」

雪ノ下「……『本当に』失われるほど怖いことはないから」

由比ヶ浜「……そっか」




270:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 21:56:32.09 :4GHfUUZCO


雪ノ下「……だからあなたにも私が今考えていることを全部話すことにした」

雪ノ下「こんな滅茶苦茶な理屈で納得してもらえるとは思わないけれど……」

由比ヶ浜「納得、とまではいかないかもしれないけど……流れとしてはわかるっていうか」

由比ヶ浜「……ゆきのんは、もう……待たないんだね」

雪ノ下「……そうよ」

由比ヶ浜「……そう言われちゃうとこっちも早く近づかないといけないなあ」

雪ノ下「それは私の提案に乗るってことでいいのかしら」

由比ヶ浜「……そうだね」




271:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 22:03:07.67 :4GHfUUZCO


由比ヶ浜「……でも、いいの?私もその……そういうことしても」

雪ノ下「別に今私と比企谷君が付き合ってる訳でもないんだからあなたの気にすることではないでしょう」

雪ノ下「……とにかくあのヘタレをスタート台に立たせるにはさっさとトラウマから解放しないとダメ」

雪ノ下「だから、一人よりも二人の方がいいのよ。承認欲求を満たす存在は」

雪ノ下「そうやってまず彼の自己意識を回復させて……」

雪ノ下「その後でやっと……人を好きになる、とかそういうことができるようになる」

雪ノ下「今のままだと……たぶんあなたが相手でも『釣り合わない』などといって逃げるだけだと思うから」




282:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 22:55:19.65 :4GHfUUZCO


由比ヶ浜「確かにヒッキーそういうこと言いそう……」

雪ノ下「でしょう?だから先に退路を絶ってしまうの」

由比ヶ浜「それはわかったけど……告白した後は……どうするつもり?」

雪ノ下「まあ、その先は逃げられないように近づくしかないでしょう」

雪ノ下「……最終的に彼が一人を選ぶことがあるにせよ」

雪ノ下「まあ……色々近づく名目は考えてはいるけど」

由比ヶ浜「例えば?」




285:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 23:07:11.81 :4GHfUUZCO


雪ノ下「例えばこの告白自体が部活の産物だと考えれば彼といることも部活の一貫といえなくもない」
由比ヶ浜「『孤独体質の更生』という依頼をこなしてることにするんだ」

雪ノ下「そういうことね」

由比ヶ浜「なんか……変われそうな気がしてきたかも。ヒッキーが」

雪ノ下「それは……少し違うわね」

由比ヶ浜「?」




287:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 23:18:45.09 :4GHfUUZCO


雪ノ下「私達がするのはあくまで『自己意識の回復』だから……元に戻すだけよ」

由比ヶ浜「あ……そっか。やっぱりそこまでしなきゃいけないのかな……?」

雪ノ下「もっと穏やかにローペースでやる方法もあるのかもしれないけれど、もう私は……待てない」

雪ノ下「あとは……彼のやり方を少し取り入れたかったりして」

由比ヶ浜「ヒッキーのやり方?」

雪ノ下「『そこまでするのか』って言いたくなるやり方」




291:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 23:42:16.87 :4GHfUUZCO








八幡「いや……だいたいの話はわかったが……」

八幡「……俺のためにそこまでしなくても……」

由比ヶ浜「あっ!やっぱり言ったよ、ゆきのん」

雪ノ下「まあ……予想通りの反応ね」




294:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 23:57:56.27 :4GHfUUZCO


八幡(というか何?この状況は……なんか俺の心読まれてるし)

八幡(それなのに何故か雪ノ下と由比ヶ浜に好きと言われてるし)

八幡(いくら俺が死ぬ夢見たからってやることが極端すぎるだろ!雪ノ下!)

八幡(それに由比ヶ浜も雪ノ下の策に乗っちゃうし……)

八幡(なんかこれからも近づく気満々だし)

八幡(ここまでされて勘違いしないとか予防線張れないし……)

八幡「えっと……その……やめた方がいいって……俺なんかにこれ以上関わるの」




297:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/25(火) 00:14:10.93 :6d0N5Hb+O


雪ノ下「ま、急にこんなことになれば混乱するのも無理ないわね」

雪ノ下「でも、もう……手遅れなのよ」

由比ヶ浜「もうヒッキーは……『そこまでのこと』をやっちゃったんだよ」

八幡「いや……俺はただ……」

雪ノ下「私が由比ヶ浜さんと話した内容……これを聴いてもまだ好意を持たれることに納得できない?」

八幡「それは別に……その、俺自身が惚れやすいからそれについてどうこう言える立場じゃないが」

由比ヶ浜「じゃあヒッキーは何が納得できないの?」




303:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/25(火) 00:33:48.85 :6d0N5Hb+O


八幡「す、好きになるのはそりゃ……好きにすればいいが……その、付き合うとか」

八幡「やっぱ釣り合わないだろ、雪ノ下も由比ヶ浜も」

八幡「俺は……由比ヶ浜が俺と関わって立場が悪くなるのとか見たくないし」

雪ノ下「相変わらず優しいのね、比企谷君は」

由比ヶ浜「そうやって遠ざけたいんだろうけど、むしろ好感度上がっちゃうだけだよ?」

八幡「な!?……じゃ、じゃあ付き合って立場が悪くなる覚悟あるのかよ、由比ヶ浜は」

由比ヶ浜「あるよ」

八幡「」




308:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/25(火) 00:44:23.25 :6d0N5Hb+O


雪ノ下「さて、どうにも逃げられなくなってきたみたいね」

八幡「……雪ノ下は雪ノ下でいいのかよ……俺なんかで」

雪ノ下「あなた……自虐もいい加減にしないと怒るわよ」

八幡「なんでお前が怒る必要があるんだよ……」

雪ノ下「確かに、あなたがあなた自身のことを勝手に貶めるのは自由だわ」

雪ノ下「でもね……この私が認めたあなたをあなたが貶めるのなら、それは私を侮辱するのと同じことよ」

八幡「……相変わらず傲慢だな、お前」

雪ノ下「あら?あなたほどではないでしょう」




311:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/25(火) 01:03:09.98 :6d0N5Hb+O


八幡「傲慢な人間の主張することを否定する人間だからさらに傲慢ってことか……」

八幡(ここまでの誠意見せられて……無碍にできるわけないだろ……)

八幡(でも……今の俺にはまだ……その覚悟がない……)

八幡(しかしそんなことまで見透かされて……それでも俺のことを好きだと言ってくれる)

八幡(そういうことなら……俺の今の誠意は今の気持ちを正直に言うしかない)

八幡(カッコ悪すぎて言うのも躊躇われるけど……仕方ない)




八幡「……ありがとう雪ノ下、由比ヶ浜。俺のこと……好きになってくれて」




314:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/25(火) 01:14:07.13 :6d0N5Hb+O


八幡「その……なんだ?恋愛とかじゃなくてもっと広いとこでの今の俺の気持ち……というか」

八幡「……そういうこと、ちょっと言わせてもらっても……いいか?」

雪ノ下「むしろそれを望んでいたわ」

由比ヶ浜「もう何も遠慮とか……しなくていいからね!」

八幡「サンキュー由比ヶ浜」

八幡「えっと……その、雪ノ下と由比ヶ浜に告られた時は……正直滅茶苦茶嬉しかった」

八幡「もう死んでもいいと思った、割とマジで」

八幡「だから……それ以上望むのもおこがましいというか」




319:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/25(火) 01:31:59.78 :6d0N5Hb+O


八幡「あとやはり俺は……まだ怖がっているんだと思う。これ以上近づくことに」

八幡「今は……誰かと付き合うとかそういうことはまだ……考えられない」

八幡「でも、もしも待ってもらえるのなら……待っててほしい」

八幡「いつになるかは分からないが…………約束、できるようにはなった、と思う」

八幡「もっともその状態にしたのすら2人のおかげなんで私は頭が上がりませんが……」

八幡「こんな俺でもよければ…………これからもよろしくお願いします」

雪ノ下「そう……よろしく」

由比ヶ浜「こちらこそよろしくねー」




321:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/25(火) 01:48:29.09 :6d0N5Hb+O


雪ノ下「……他にも何か言いたいことがあるなら言ってもいいのよ?」

八幡「いや、言いたいことは色々あるが……その、こみあげてきて」ポロポロ

由比ヶ浜「えっ?ヒッキーもしかして泣いて」

八幡「な、泣いてなんかねーよ!これは汗だ、汗!」

雪ノ下「……カッコ悪いわね」

八幡「……自覚してることをスパッと言われるのは地味に傷つくんだが」

由比ヶ浜「でもそこが好きなんだよねー。ねー?ゆきのん」

雪ノ下「ええ、そうね」

八幡「……落として上げるとかお前の姉ちゃんみたいでこえーよ」




323:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/25(火) 01:59:15.30 :6d0N5Hb+O


雪ノ下「私の姉は褒め殺しなどもするけどそっちの方がいいかしら?」

八幡「いえ、あなたはあなたのままで……あなたのままがいいです」

雪ノ下「そう……それならそれで私の言うことを大人しくきいてなさい」

八幡「はぁ…………ん?ちょっと待て。今何か不穏な言葉が聞こえたような」

雪ノ下「気のせいよ。比企谷君をちょっと私の好きなようにするってだけよ」

八幡「さっきより内容が過激になってるんですが!?」

由比ヶ浜「心配しなくても大丈夫だよ、ヒッキー。あたしもついてるから」

八幡「いや、それはますます……」




326:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/25(火) 02:18:55.36 :6d0N5Hb+O


八幡「てか、冗談抜きでこれからどうするつもりなんだよお前ら……」

雪ノ下「あなたの気が変わるまで、『実力を行使』し続けるだけのことよ」

由比ヶ浜「ヒッキーは口で言ったこと信じてくれないから仕方ないよね」

八幡「いや、信じるよ!さっきそう言ったじゃん」

雪ノ下「『俺も時々ウソつくからお前もついていいぞ』」

八幡「畜生……自分の都合の良いように解釈しやがって……」

由比ヶ浜「むしろヒッキーはもっと都合が良いように捉えた方がいいよ」

八幡「そうですか……」




329:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/25(火) 02:30:47.30 :6d0N5Hb+O


雪ノ下「別に今から何かすぐ変わるってことでもないのよ」

雪ノ下「ただ……あなたのことは本当に心配だから」

由比ヶ浜「ヒッキーは目を離すとすぐ自分を犠牲にしちゃうからね」

八幡「なんだその小さいガキみたいな言い方……」

雪ノ下「だから……もしこれから依頼などで問題があってもあなたが犠牲にならない方法を考えましょう」

八幡「『あなたが』……じゃあダメだろ?雪ノ下も由比ヶ浜もだよ」

八幡「だからなんだ……由比ヶ浜も俺と関わることであまり他の人間関係犠牲にするなよ」

由比ヶ浜「うん……じゃあヒッキーも一緒に良い方法考えてね?」

八幡「……できる範囲でな」




336:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/25(火) 03:05:58.58 :6d0N5Hb+O


雪ノ下「……じゃあ今日は時間も時間だしこの辺でいいかしら」

由比ヶ浜「いいよー」

八幡「…ああ」





雪ノ下「じゃあまた明日」

由比ヶ浜「うん!また明日」

八幡「……また明日な」

八幡「……」

由比ヶ浜「ヒッキー?……どったの?」

八幡「え?あ……えっと……由比ヶ浜、雪ノ下」




八幡「その…………途中まで一緒に帰らないか?」




339:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/25(火) 03:17:21.44 :6d0N5Hb+O


俺は変わらない。俺の過去の全てを肯定するために、変わらない。

人間関係なんて嘘や欺瞞だらけでうんざりする。何度も裏切られる。

だから、一人でいい。これ以上傷つかないためにも。今までずっとそうしてきた。

でも、そんな人間だったからこそ築けた人間関係というのもあるらしい。

だからこそ、やっぱり俺は変わらない。その人間関係を壊さないためにも。

しかし、それもいつかは壊れてしまう。自分の意思とは関係なく。

だから、後悔しないように彼女達は動いた。そうして俺をスタート地点に立たせた。

それなら俺は――――




変わらないために、一歩踏み出すことにした。



――これでようやく俺の青春ラブコメがはじまる。  ~終~
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